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タイトルどおり、11月5日のガイ・フォークス・デイの由来である火薬陰謀事件のはなしですが、その事件そのものについては第二部で、第一部の主人公は、スコットランド女王メアリー、ガイ・フォークス事件の当事者ジェームズ一世のお母さま。第一部、二部を通じて、16世紀後半から17世紀にかけ、イギリスが急速にプロテスタント化していく中での、カトリック教徒の最後の空しい抵抗ってのがテーマでしょうか。 いつものことですが、歴史に詳しいわけではないので、どこまでが史実に忠実で、どこからが解釈か、もしくは演出上の改変なのかはよく分かりません。(いずれちゃんとお勉強しなきゃとは思うのですが) 火薬陰謀事件というのは、カトリック教徒一派が、地下室に隠した火薬で、イギリス議会を国王ジェームズ一世ともども爆破してしまおうと企んだクーデター未遂事件のことですが、これを見終わってちょうど、チェチェンの大統領が似たようなシチュエーションで暗殺されたというニュースを知って、ちょっとびっくり。時代は変わっても人間の業っていうんですか、そんなものはそう簡単には変わらないものなのか…。 というわけで、第一部。自身はカトリック教徒のメアリー女王 (Clémence Poésy) が、プロテスタント勢力の台頭するスコットランドで苦労するおはなしです。 ドラマでは、本人はカトリック信者でありつづけながらも、国を統べるためにプロテスタントと折り合いをつけようとするのですが、カトリックであるというアイデンティティが、政敵につけ入られる隙になってしまいます。エリザベス一世に入れ知恵された自分の異母兄弟の策略で、味方だった人たちをひとりひとり失っていくんですよ…。 ヘンリー七世の血筋のダーンリー卿 (Paul Nicholls) と自ら進んで政略結婚しますが、これは、イングランドとスコットランドの統一を通じて争いを収めようとする意志でした。(ダーンリー卿との子供は、自分を継いでスコットランドの王様になれるだけでなく、跡継ぎのいないエリザベス女王のあとイングランドの王様にもなれるわけっす。)エリザベス女王に対する仕返しというネガティブな動機だけじゃなかったみたい。 そうこうしてる間に、最後に残ったのは彼女を心から愛してくれるボズウェル伯 (Kevin McKidd) だったけど、結局、彼との関係が夫の暗殺共謀に繋がって、さらに彼女の失脚に拍車をかけちゃうし。 第二部は、その子供、スコットランドのジェームズ六世、後のジェームズ一世 (Robert Carlyle)と火薬陰謀事件です。エリザベス一世統治下で、セシル卿 (Tim McInnery) の指揮のもと弾圧されてきたカトリック教徒たちは、カトリックの母を持つジェームズ一世ならば政策転換してくれるものと思っていたのに、それを裏切られ、いっそのこととジェームズ暗殺を企てるわけです。 ジェームズ一世は同性愛者だったらしいですけど(完全脇役のお小姓さんたちがなかなか見目良く…)、デンマーク出身のアンとは政略結婚しただけの割には、最後の方で結構仲の良い夫婦になってました。 ドラマでは、ジェームズはスコットランド時代に、嘆願にきたカトリック教徒のトーマス・パーシー (Richard Harrington) にカトリックに寛容な政策を取ると約束したのに(パーシーのカラダと引き換えに、ですが…)、ロンドンに来てみたら国庫に金がない。 セシル卿曰く、国庫は今までカトリックからの罰金でかなりの部分が賄われていた…なら罰金復活、弾圧復活しちゃえ!ということになり、カトリックのカリスマ指導者ロバート・キャッツビー (Richard Coyle) らを激怒させちゃいます(パーシーは個人的なうらみがあるしね)。 でどうするっと、スペインで傭兵をしてたガイ・フォークス (Michael Fassbender) が実行犯として呼ばれて、一派は国王暗殺に向けて準備を始めるのですが、メンバーのポカやら、裏切りやら、セシル卿配下の女スパイ、マーガレット (Emilia Fox) の色香にだまされるやら、計画が失敗することは火を見るより明らかってな感じでありました。結局計画実行の直前にガイは現行犯で捕まり拷問にかけられ、残ったメンバーもまもなく見つかり、その場で射殺、もしくは拷問ののちに絞首刑さらし首。「われわれが望んでいるのは、ただ『寛容』だけなのに」つって玉砕しちゃうキャッツビー哀れ。 演出上の虚構だとわかってますが、このガイ・フォークスがカッコええのよ。寡黙な暗殺者ってな感じで。目的の遂行のために、あくまでも冷徹に物事を実行していく人です。キャッツビーもプロテスタント側から見れば狂信者かもしれないけど、カトリック側からすれば、揺るがない信仰を持つ頼もしい指導者だったと思うのよ。 まーどうせ、リチャード・コイル対ロバート・カーライルだったら、外見だけですでにカトリック側ひいきの人間です、わたしは。 ちょっと気になったのは第一部と第二部の演出上のギャップみたいなもの。一部では、いわゆるナチュラルな演出といいますか、登場人物の会話が劇中で完結しているのだけれど、第二部ではメジャーな人物がいきなりカメラに向かって心情を吐露するんですよ。劇中の人たちからみると、何をあさっての方を向いて独り言いっとるんじゃ、って感じです。それはそれでいいけど、第一部にはそういうのが全く無かったので違和感あります。2つの別々のはなしとしてみればいいのかもしれないけど…(と思ったら、どうやらこれは2つのテレビ映画らしいです。そうならそうとはっきり言ってくれ。) === リチャード・コイルといえば、ジェフのいない Coupling シリーズ4の放映が今日からはじまる。ジェフなしのカップリングなんて!と思いつつ、他の5人も大好きなので、ぜひ好評を博していただきたいものだ。それでDVD発売もさくっとよろしく。 === ボズウェル卿役のケビンさんは The Kingdom Of Heaven つうリドリー・スコット監督の映画にも出てるそうな。主人公は Orland Bloom で、Jeremy Irons、Liam Neeson に、もしかしたら Michael Sheenなんかも出演。十字軍の映画なんて、またキリスト教側からの視点だろ?と思ったら、十字軍の攻撃からエルサレムを守るはなしだそうです。それなら見てもいいかなぁ。ちなみにオーリーの The Calcium Kid は4月30日に封切りだったようですが…酷評です(彼のせいではないみたいだけども)。 …長え。 #
by bms-mp
| 2004-05-10 16:24
| Drama
あれあれ、これってトンデモ系なんですか? 日本では放映されたのかなーと思ってサーチしてみたら、あんまりな言われかた。…と思ったら、これは誉めコトバなのかしら? トンデモとよばれてる背景、根拠がわからんのでなんですが。わたしは別にミステリ・ファンじゃないんで、ふむ。 ま、トンデモなのか、おバカ系なのか知らんが、どっちでもいいや。 ミステリーとしての完成度も高いのか低いのかわからないけど、それもいいや。 ジョナサン・クリークつうキャラを出された時点で、OKです。わたしとしては。 ジョナサン (Alan Davies) の本業は、 マジックのトリックを考えること。マジシャン、アダム・クラウス (Stuart Milligan) の専属です。 風車小屋に住んでて(余談ですが、風車とか灯台とか教会とかの中を住居用に改装して住むのって憧れますよね。ロケーションは普通とんでもない田舎だったりしますが)、洋服のセンスもなく、シャイで風采もあがらず、アナグマウォッチングが趣味。 ひょんなことからフリーの事件記者マディ (Caroline Quentin) と知り合ったことから、巷を騒がす事件の真相解明にいやいやながらも首をつっこむハメになるのでした。 いつもマディに押し切られ、女たらしのアダムにも女性関係の後始末を押し付けられ、いいように使われてますけど、実はトリックを作るだけじゃなく、見破ることにかけても天才ってか? なにせマジック・トリックの専門家ですから、扱う事件は一見すると説明不可能なもの。密室系が多いかな。でも一人の人物が同じ時間にロンドンとニューヨークにいたっという Time Waits For Norman というエピソードもありました。 マジシャンがらみというとテレ朝の『トリック』にちょっと似てるけど、トリックほどスラップスティックな感じではないです。アダムは完全に脇役だし。だいたい彼はジョナサンの考えたトリックを演じるパペットみたいなものよ。アダム本人は、きっと全くそのことに気づいていない、能天気なおじさんだけど。 マディとの微妙な関係とか、本筋には関係ないお遊びの部分とかはいらないという意見もあるみたいだけど、わたしはそこが気に入っております。アラン・デーヴィスはもともとコメディアンだし(といってもわたしはコメディアンとしての彼は Q.I でしか見たことありません)、密室のトリックやなぞ解きはものすごーいものばかりじゃないから。 アランのとぼけた感じはジョナサンの役にぴったりだし、脇役の人たちのキャラもいいです。前後編に分かれてる Problem at Gallows Gate は爆笑しながらみました。キティおばさん最高! シリーズ1、2と最初のスペシャルをみたんだけど、シリーズの3からは、まだビデオ、DVDリリースがなく未見。マディに代わってカーラ (Julia Sawalha) がヒロインになるので、アブファブ・ファンのわたしとしては、はやく見たいんだけど… #
by bms-mp
| 2004-05-07 13:59
| Drama
Master & Commander のキュートな副長 James D'Arcy が 主人公シャーロック・ホームズ役だというので見てみた。 うーむ。ダーシー君はやっぱり美人さんだったけど、ホームズものとしては微妙。 わたしはシャーロッキアンじゃないのでどこがオリジナルに忠実で どこが違うのかは詳しくは知らないけれど、 ホームズファンにおしなべて不評なのは、わかる気がする。 いかに若き日のホームズを新しい解釈でドラマ化したとはいえ、 100分の間に4人もの娘っ子と寝るほどの女たらしだったのか? ワトソンは検死医だったっけ? ホームズのお兄ちゃんもヤク中だったの? とか、前から持ってたイメージに合わないことが多いといいますか。 わたしは同人誌とかファンジンとか自分ではやってないけど、 パロディ(もしくはパスティーシュですか)には、ある程度守るべき オキテみたいなのがあるんじゃないですか? あんまり原作のイメージと違うキャラにしてはいかんのじゃありませんか? といっても、ものすごくかけ離れてもいないあたりが、賛否両論の根元かも。 ちょっと人間的な弱さを持ってるホームズはいいんだけど(女たらしは除いて)。 ストーリーもねぇ、面白くなくはないんだけど、敵がいきなりモリアーティ教授だから。 ホームズが若い時にモリアーティが死ぬはずないもん。 そこがわかってるから、ちょっと… かといって、いっそさっぱりホームズとはぜんぜん関係なかったら、というと、 これまたどうだろう。あーやっぱり、微妙だー。 ちゅうわけで、今度ドラマ化される(らしい) Stephen Fry と Hugh Laurie のホームズものも 期待半分、恐いもの見たさ半分って感じ。 しかしこの日記…放置プレイもいいところ。ちょっと気を抜くとこれだもの。 くわばらくわばら。 #
by bms-mp
| 2004-05-06 17:32
| Drama
今年のBAFTAで The Office が3連覇 だそうです。うがーやっぱり The Office 人気健在なのね。わからーん。面白くなくはないけど、そんなにいいのか?シリーズ1もシリーズ2もみたんだけど、何でそんなに人気なのか。それとも、クリスマス・スペシャルは期待していいってことなんでしょうか。 おまけに、Ricky Gervais が Martin Freeman を抑えて受賞しただと? The Office 唯一の清涼剤?のティムを差し置いてそれはないわあ。 …ところで、ビル・ナイフィーって誰? ビルおじさんは『ラブ・アクチュアリー』にも出てるんだから、日本語表記には気をつけてくださると嬉しいのですが(主演は John Simm だったとも思うんだけど)。 にしてもますます State Of Play みたくなりますね。 #
by bms-mp
| 2004-04-19 17:58
| Rubbish
というわけで、もし今後万が一『赤い影』(仮面の忍者じゃなくて、1974年英・伊映画)を見る可能性のある人(いるのか!?)は、たぶんネタバレになると思うので、以下を読まないで下さい。(というより、別に話題自体が読んでもおもしろくないです。自己反省) ==== この映画自体を見たわけじゃないんです。 以前、この日記で Unconditional Love という映画について書いたのですが、その映画の中で、殺人事件の犯人探しに出かける時、小人のモーディが赤いレインコートをわざわざ着てくるシーンがあるんすよ。 で、グレイスとダークが何でそんなの着てるの?と彼女に聞くと、「昔、赤いレインコートを着た小人がどんどん人を殺していく映画があったのよ!」と答えるのです。 ("Nobody messes with a dwarf in a red raincoat." というセリフが笑えます) その時は、そんな映画が実際にあるとかないとか特に気にしなかったのだけど、Shaun Of The Dead 英国公開記念(しつこいですか。そうですか)に、そのコンセプト上のオリジナルである Spaced を見ていたら、「赤いレインコートを着た小さい人」が背景を横切ったんですよ。あれっと思って Spaced の製作者コメントを聞いたら、これは Don't Look Now (邦題が『赤い影』)という映画へのリファレンスなんだよねーと。 ほう。つまり、「赤いレインコートを着た小人がどんどん人を殺していく映画」というのは本当にあって、それも1度ならず2度も(それもわたしの狭いDVDライブラリーの中で←かなり偏ってるからか)言及されるほど、カルトな映画ってことなのね。 だったら、何か機会があったら見てみたいじゃありませんか。それでちょっとネットでリサーチしたんですけど。どこにも「小人」の話は出てこないんですよ。 愛娘を事故で亡くしたイギリス人夫婦が、ベネチアで遭遇する恐怖、てなお話らしい。「赤いレインコート」というのはその娘が池で溺れた時に着ていた服で、それらしい影があちこちで目撃され、夫婦は精神的にも追いつめられていく…。 て、ことは。 結局、娘の幽霊だと思っていた赤いレインコートは、実は小人の殺人鬼だったってこと?これが事件の真相、映画の結末ってこと?だから、どのあらすじを読んでも「小人」の「こ」の字も出していないってこと? つまりこの映画、わたしが見る前から思い切りネタバレしてたっつうことなんですかあ! いやーん。ぜんぜん関係ない映画で別の映画の「衝撃の真相」を知ることになろうとは!びっくり。それってたとえばある映画の中で、「シックスセンスのXXXはXXXだ」なんて会話があるのといっしょでしょ? そりゃないぜ、 P.J.ホーガン! それでもわたしは Unconditional Love もホーガンも好きだから赦すけど。 今度は気をつけてね?(…て誰に向かっていっとるんじゃ) #
by bms-mp
| 2004-04-19 12:02
| Misc.
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